遺産として「空き家」を相続するケースがあります。しかしこの「空き家」の処遇について頭を悩ます人も多いものです。
ここでは、
・空き家をそのまま残しておくことで生じる問題
・資産価値のある空き家をどうすればどう処分すればよいのか
・資産価値のない空き家の場合はどうするか
について解説していきます。
空き家をそのままにしておくことの問題点
核家族化と出生率の低下が進んでいること、また昔とは異なり「進学や就職などで県外に出ていき、そのままそこで暮らし続けることを選ぶ人」が多くなってきていることから、親が亡くなった後、親が住んでいた家が空き家になるケースも見られるようになりました。今後もこの流れは加速すると思われます。
「思い出のある家だから壊すのはしのびない」「そもそも処分するのが面倒くさい」「処分するのにもお金がかかる」ということで二の足を踏む人もいますが、空き家をそのままにしておくとさまざまな問題が起こりやすくなります。
たとえば以下のような問題です。
1.草などが生い茂り、隣家などに迷惑が及ぶ
2.老朽化したことで災害時などに倒壊しやすくなる
3.犯罪のターゲットとなりやすい
4.固定資産税がかかる
1.草などが生い茂り、隣家などに迷惑が及ぶ
手入れをする人がいないと、樹木や草が生い茂り日当たりを悪くしたり雑草の種をまき散らしたりするなどして、隣家に迷惑がかかりやすくなります。
また、景観が悪くなります。
2.老朽化したことで災害時などに倒壊しやすくなる
人が住んでいない家は、加速度的に老朽化していきます。そのため、倒壊などを起こす可能性が高くなります。特に、積雪や地震、落雷などの自然災害が起きた場合は、倒壊の危険性が高まります。
3.犯罪のターゲットとなりやすい
人が住んでいない家は、犯罪のターゲットとなりやすいといえます。放火や不審者による侵入を許してしまいやすい環境にあるのです。
家自体が荒らされるだけでなく、隣家にまで害が及ぶ可能性が極めて高いのです。
4.固定資産税がかかる
空き家もまた「資産」と考えられるため、維持し続ける限り、固定資産税がかかり続けます。
すでに別の土地で家を建てている人の場合は、「今住んでいる家」と「空き家」の2軒の固定資産税を払っていく必要があるのです。
空き家をそのままにしておくメリットはありません。
資産価値があるにせよないにせよ、空き家を空き家のままで置いておくことはおすすめできません。
資産価値のない空き家とどう向き合うか
資産価値のある空き家の場合、土地も含めて様々な活用方法があります。それでは資産価値のない空き家の場合はどうすればよいのでしょうか。
1.家を解体して更地にする
2.別の資産に変える
上記の2つのやり方を検討してみてください。
1.家を解体して更地にする
老朽化が進んだ家の場合、家を解体して更地にしてしまう方が良いと考えられています。更地にしてしまえば、「土地」として売ることができるようになります。
家を解体するためにはお金が必要ですが、今後住む予定のない、それも老朽化している家をそのまま維持し続けるよりは賢い選択だといえます。現在は、「老朽化した家を取り壊すのであれば補助金を出す」としている自治体も多く、解体費用の負担を軽くすることもできます。
2.別の資産に変える
「現在空き家が立っている家を、ほかの資産に変える」という選択肢も検討してください。
空き家のある土地にマンションなどを建ててもらい、自分が提供した土地の分のマンション所有権を得る……などのやり方です。
元々の家の資産価値によってどれくらいの所有権を得ることができるかなども変わってきますが、「自分の家の価値がわからない」「資産価値は低いが、ゼロというわけではなさそうだ」というときに検討できる手段です。
どの選択肢を選ぶにせよ、決断は早めに行うことが望ましいといえます。家は住んでいなければどんどん傷んでいきますし、固定資産税もかかり続けます。また、倒壊や犯罪のリスクを抱え続けることになります。
「実家」は、多くの人にとって多かれ少なかれ思い入れのあるものです。ただ、だからこそ空き家のままで放置し、荒れ果てていくのを見るのはつらいものです。できる限り早く結論を出しましょう。