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遺言書は1つだけではない! 3つの種類について

 「遺言書」という言葉は、だれもが耳にしたことのある言葉でしょう。
 いろいろなメディアに取りあげられていますし、日常的にもよく耳にする言葉です。終活を考え始めた人がまず真っ先に気にするものでもあり、この言葉は広く認知されているといえます。

 ただ、「遺言書にはいろいろな種類があること」については知らない人もいるのではないでしょうか。また、「いろいろな種類があることは知っていても、それがどのような意味と特徴を持っているかは知らない」という人もいます。

 ここでは、「遺言書とはそもそも何か」「遺言書とエンディングノートの違い」「遺言書の種類とその特徴」について解説していきます。

「遺言書」について正確な知識を得よう! エンディングノートとの違いとは

 遺言書とは、亡くなる人(被相続人)が遺していく家族や親族にあてて残す最後の手紙だといえます。
 ただこの「手紙」は、単純に感謝を伝えるためだけに用いられるのではなく、法的な拘束力も持つものです。そのため、扱いには十分に注意が必要です。

 遺言書には、通常「遺産(相続)」のことが書かれます。ここで書かれた被相続人の意思は非常に強い効力を持ちます。
 たとえば、被相続人に配偶者と子ども2人がいた場合、遺言書がなければ配偶者が2分の1の、子どもAが4分の1の、子どもBが4分の1の遺産を引き継ぐことになります。しかし遺言書に「(第三者である)〇〇に遺産すべてを渡す」と記した場合は、遺産は〇〇が承継することとなり、法定相続人であっても遺留分が侵害された額を金銭請求できるだけとなります。なお、このケースでの遺留分は配偶者4分の1、子どもAは8分の1、子どもBも8分の1となります。
 このように、遺言書は法的効力を持つものなのです。

 さて、終活のときに書かれるものとしてはほかにも「エンディングノート」があります。エンディングノートにも残していく人たちへの感謝の言葉を記すことができますし、遺産の分配についての希望を書くこともできます。
 しかしエンディングノートに書かれた「遺産分配の希望」はあくまで「希望」であって、法的な効力は持ちません。もちろん残された家族が「故人がこう言っているのだから、故人の思いにしたがって遺産を分けよう」と自発的に行動することも考えられますが、強制することはできないのです。

自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、それぞれの違いと特徴について

 遺言書には、3つの種類があります(特別方式についてはここでは取り上げません)

  1. 自筆証書遺言
  2. 公正証書遺言
  3. 秘密証書遺言

 これらはそれぞれ別の特徴を持ちます。ひとつずつ解説していきます。

1.自筆証書遺言

 これは、文字通り「被相続人(本人)が自分自身の手で書いた遺言書」のことです。現在はパソコンが普及していますが、自分の肉筆で書く必要があります。また代理人による執筆も認められていません。なお、2019年の1月13日から遺産の目録については自署しなくともよくなりました。
 自分の意思だけで書くことができるため、3つの遺言書のなかでもっとも手軽です。費用もかかりませんし、書き直しも容易です。そのためこの形式をとっている遺言書がもっとも多いとされています。

 ただ、遺言書は有効か無効かは非常にシビアに判断されます。自筆証書遺言の場合、「せっかく遺言書を残したのに、法的効力を持たないものだった」というトラブルが起こる確率も高くなります。

2.公正証書遺言

 公正証書遺言とは、公証役場で作ることになるものです。法律の専門家(公証人)に遺言の内容を口で伝えて公証人がそれを書きます。それを確認し、本人と証人がそれに署名捺印をします。最後に公証人が署名捺印すると遺言書ができあがります。

 公証人が作成するため、間違いのない遺言書が出来上がります。また紛失したり偽造されたりすることがなく、非常に安心です。法的効力を発揮することのできる遺言書を確実に作ることができるのが、公正証書遺言の大きなメリットです。
 ただしこの方法は費用がかかります。また2人以上の証人が必要となるため、手間もかかるのがデメリットです。

3.秘密証書遺言

 秘密証書遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言の両面を併せ持つかたちです。
 秘密証書遺言の作成は、まずは自分で遺言書を作成することから始まります。自筆証書遺言とは異なり、パソコンで書いたものでも代理人に書いてもらったものでも構いません。
 そしてこの遺言書に、本人が署名捺印をします。
 この遺言書を封筒に入れて、閉じ口に印鑑(遺言書に用いた印)を押します。この封印した状態の遺言書を公証役場に持っていきます。2人以上の証人と公証人の立ち合いのもと、「この遺言書は自分のものであること」「自分の住所」「自分の名前」を伝えます。公証人によって、本人の弁と封筒の出された日付を封筒に書かれます。その後、本人と証人が署名捺印を行います。

 この形式は、煩雑であることや費用がかかること、また保管は本人が行うために紛失の可能性があることもあり、利用される頻度はそれほど高くはありません。
 ただし遺言の内容を完全に自分だけの秘密とすることができます。

遺言書を作成するときは専門家に相談をしよう

 遺言書は非常に形式が重要視されるものです。

  • 日付が書かれていない
  • 書き直しのやり方が厳密に定められている(二重線を引いただけではだめ)
  • 財産の書き方が不明確である(たとえば不動産の場合は、登記簿に従った記載が望ましい)
  • 署名捺印がない
  • レコーダーなどに吹き込んだ
  • 自筆証書遺言なのに、パソコンなどで書かれている(※財産目録はパソコンで作っても構わない)

などのような不備があれば、遺言書が無効とされます。またここで挙げたのは代表的なケースであり、ほかにも遺言書が無効になるケースがあります。

 どれほど気を付けて書いていても、見落としや不備は起こりうるものです。そのため、遺言書を自分の力だけで書くことはなかなか難しいといえます。間違った遺言書を作成してしまうと、最後の意向ですら通じなくなってしまう可能性があります。そのため、遺言書を作りたいと考えたのであれば、弁護士などの専門家を通じて作ることをおすすめします。

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