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成年後見制度とは何ですか?

1 はじめに

 後見制度とは,ある人の判断能力が不十分な場合に,本人を法律的に保護するため,申立を受けて家庭裁判所が本人に対する援助者を選び,その援助者が本人のために活動するという制度です。 家を買ったり車を買ったりする際には重要な契約という認識で慎重な判断を行うことが通常でしょうが,日常生活で普段意識をせずに行っているスーパーで物を買うといった行為や電車やバスに乗ることも全て同じように契約という法律行為であり,契約を行わずに日常生活を送ることはほぼ不可能です。後見制度はこのように日常生活を送る上で必要不可欠な契約という行為について,判断能力が不十分である方を保護するための制度ということになります。
 成年後見制度には,法定後見制度と任意後見制度の2種類があり,法定後見制度には,本人の判断能力の程度に応じて,成年後見,保佐,補助の3つの類型があります。これらのどの類型にあたるかは医師による鑑定結果が重要な判断要素となり,本人にどこまでの範囲の自己決定権を残すか慎重に判断を行うこととなります。
 ここでは,これら3つの類型のうち最も多く利用されている成年後見(令和元年末日時点で76.6%(厚生労働省『成年後見制度の現状』))の概要について少しお話をさせていただきます。

2 成年後見が開始された場合の効果

 成年後見は本人に法的な判断能力がない場合に利用される制度であり,成年後見の開始があった場合には,日用品の購入等日常生活に関する行為を除いては本人が行った行為は成年後見人による取消の対象となります。これにより,本人の自己決定権は大幅に妨げられてしまうという側面はあるものの,判断を行うことができない本人が不当な契約を行ってしまい持っている資産をだまし取られたり使ってしまったりといったことを避けることが可能となります。
 また,本人の預金等の重要な資産は後見人が管理を行うことになるため,本人の財産の減少を防ぐことができるようになります。

3 成年後見の申し立て

 成年後見は家庭裁判所に成年後見開始の審判を申し立てることによって行います。
 申立書には通常,後見開始申立書,申立事情説明書,本人事情説明書,財産目録,診断書といった書類が必要となりますが,各裁判所毎に決められた書式が用意されていることもありますので,実際に申立を行う際には管轄の家庭裁判所に確認を行ってください。
 本人の日常生活の面倒を見ていない親族が成年後見の申し立てを行う際には財産が不明だったり,医師の診断書の取得が難しかったりといったケースもありますが,具体的にどのように対応していくかは事案ごとに異なりますので,専門家や家庭裁判所にご相談下さい。

4 成年後見人の選任

 成年後見開始の審判を申し立て,本人が後見相当であると判断された場合には後見人が選任されます。後見人に誰を指定するかは希望を述べることができます。親族間で対立がない場合には指定された方が後見人になる可能性が高いですが,親族間に対立が存する場合や専門家が解決すべき課題を抱えているような事例では弁護士や司法書士等の専門家が後見人として指定されることがあります。専門家が後見人としてつくような場合には後見人の報酬が本人の財産から支払われることになりますので,この点についても考慮した上で申し立てを行う必要があります。
 就任した後見人には家庭裁判所に対し収支状況等の報告を行う義務が課されることとなりますので,本人の財産の管理に際して不相当な点がないかどうかは裁判所による監督が行われることとなり,本人の財産を不当に減少させないようにしています。

5 最後に

 成年後見の申立の書類の準備には作成・取得しなければならない書面が多く,また,申し立てに至る経緯の中で親族間に対立がある場合も多いため,弁護士に相談し,成年後見の申立を依頼することも考えられます。成年後見を申立てるべきかどうかの判断が分からない場合もあるかと思います。このような時には弁護士まで相談することをお勧めします。

 執筆者:弁護士法人山下江法律事務所 弁護士 城 昌志 (広島弁護士会所属)

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