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相続時の配偶者の居住権

山下江法律事務所

2018年11月16日公開の加藤泰弁護士のコラムでは、平成31年1月13日から施行される民法改正のうち、遺言の方式の変更についてお話しがされました。今回は、同時に創設された配偶者居住権についてお話しします。

公布日(平成30年7月13日)から2年以内に施行されます。この配偶者居住権には①配偶者短期居住権と、②配偶者居住権の2つの種類があります。

①配偶者短期居住権

配偶者短期居住権とは、生存配偶者が被相続人の財産に属した建物に相続開始時に無償で居住していた場合には、遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日、又は相続開始の時から6ヶ月を経過した日のいずれか遅い日までの期間、その居住建物の所有権を取得した者に対し、居住建物について無償で使用することができる権利です。
この配偶者短期居住権により、それまで無償で被相続人所有の建物に居住していた配偶者は、被相続人の死亡により直ちに家を追い出されるという事態を避けることができるようになりました。

②配偶者居住権

配偶者居住権とは、生存配偶者が被相続人の財産に属した建物を相続開始時に居住していた場合には遺産分割、遺贈、審判等により居住建物の全部につき無償で使用収益をすることができる権利です。

この配偶者居住権により、生存配偶者が従前居住してきた建物に住み続けるためには当該建物を相続で取得するしかないが、その分取得できる他の資産が減り生活に困窮するような事態をある程度避けるようにすることができることや、新所有者との間で賃料の負担が生じることを避けることができ、生存配偶者が経済的・精神的に安心してそれまで居住してきた建物に住むことができるようになりました。

今回は配偶者居住権の概要についてお話させていただきましたが、配偶者居住権が認められるための要件、認められた場合の権利の金額の評価方法、それによる残りの遺産の分割方法等にはまだ難しい問題があり、その解決には専門的な知識が必要不可欠となります。

相続でお悩みの場合には、ぜひ専門家にご相談ください。

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