2017年5月26日公開のコラムでは,「終活」とは何かということについて取り上げ,「終活」において重要なものとして,エンディングノートというものを紹介させてもらいました。
今回のコラムでは,遺言について取り上げていきます。
まず,遺言にはどのようなことを残せるのでしょうか。
遺言とは,死者が生前に表示した意思に法的効果を与えるものです。
したがって,遺言に残せるものとしては,あくまで法的な意思,すなわち,相続や遺贈といった財産関係の事項(民法902条,964条等),認知といった身分関係の事項(民法781条2項,893条等)等になります。
では,法的な意思以外について遺言に書いた場合,どうなるのでしょうか。
結論としては,法的なこと以外については特に法的に意味がない,ということにすぎません。つまり,法的なこと以外を書いてはだめ,というわけではないのです。
実際に,付言事項として,「散骨してほしい」といった葬儀・埋葬の方法についての希望,家族への一言等を遺言に残す方も少なくありません。
では,遺言はどのように作成すればよいのでしょうか。
遺言には民法上いくつか種類がありますが,通常作成されることが多いのが,自筆証書遺言(民法968条)と公正証書遺言(民法969条)です。
遺言は,遺言者の最後の意思であることが明確に相続人等に分かるようなものでないといけません。そのため,民法には,遺言について厳格な方式が定められており,方式に違反した遺言は無効となってしまいます(民法960条)。
また,民法の定める方式に従った遺言を作成したとしても,内容に不明瞭な点があるために,相続人が解釈をめぐって対立し合うということも珍しくありません。
せっかく遺言を作成したのに方式違反で無効となってしまう,相続人の争いの種となってしまう,といったことを防ぐためには,専門家にご相談いただくことが安心だと思います。
前回から,「終活」に関連して,エンディングノートや遺言について取り上げてきました。
これら以外にも,最近は,尊厳死公正証書というものも用いられているようです。
ご自分の最後の意思をどのような形で残せばよいか,お気軽に当事務所までご相談ください。