目次
夫が亡くなりました。同居している義母に出て行ってもらうことはできますか?
夫を亡くした直後は、悲しみの中でこれからの生活をどう立て直すか考えなければなりません。その中で、同居している義母との関係に悩む方は少なくありません。
「夫名義の自宅なのだから、義母に出て行ってもらうことはできるのではないか?」
このようなご相談を多くいただきます。
結論から言えば、直ちに退去させられるとは限りません。しかし、何もできないわけでもありません。
1.夫名義の自宅は今どのような状態?
遺言書がなく、遺産分割協議を終えていない場合、自宅は妻と子どもによる「遺産共有状態」になっている可能性が高いです。義母は相続人ではありませんので、原則として自宅の所有権や持分はありません。ただし、「持分がない=すぐに退去してもらえる」という単純な話ではありません。
2.義母に退去を求めることはできる?
(1)長年同居していた場合
長期間同居していた場合、裁判所は次のような事情を考慮します。
- これまで居住を認めてきた経緯
- 生活の本拠がそこにあるか
- 高齢で他に住む場所があるか
そのため、突然の退去請求が「権利の濫用」と判断される可能性があります。特に高齢の義母の場合、生活基盤への配慮が重視されます。
(2)退去が認められる可能性があるケース
もっとも、次のような事情があれば、退去請求が認められる可能性があります。
- 暴言や暴力がある
- 著しい迷惑行為がある
- 同居が精神的に著しく困難な事情がある
個別事情によって結論は大きく異なります。つまり、「絶対に出て行ってもらえない」わけではありませんが、「自動的に出て行ってもらえる」わけでもないというのが実務の感覚です。
3.妻に義母の扶養義務はあるのか?
(1)姻族関係は自動では終了しない
夫が亡くなっても、法律上の「姻族関係」は自動的には終了しません。そのため、形式上は親族関係が続きます。
(2)扶養義務の原則
扶養義務は原則として、直系血族や兄弟姉妹が負担します。つまり、義母に他の子ども(夫の兄弟姉妹)がいる場合、まずはその方が扶養義務を負います。妻が当然に全面的な扶養義務を負うわけではありません。
(3)姻族関係終了届という制度
配偶者死亡後、「姻族関係終了届」を提出することで、法律上の親族関係を終了させることができます。これにより、将来的な扶養義務の問題を整理することも可能です。
ただし、感情的な影響も大きいため、慎重な判断が必要です。
4.大切なのは「今後どう生活したいか」
義母に退去を求めるかどうかは、法律だけで決まる問題ではありません。
- 今後も同居を続けるのか
- 一定期間の猶予を設けるのか
- 別居に向けた話し合いを進めるのか
いくつかの選択肢があります。まずは、現在の法的状況を正確に把握し、その上で現実的な解決策を検討することが重要です。
まとめ
- 義母は相続人ではないが、直ちに退去させられるとは限らない
- 状況によっては退去が認められる可能性もある
- 妻が当然に扶養義務を負うわけではない
- 姻族関係終了届という制度もある
夫を亡くした直後は、冷静な判断が難しい時期です。一人で抱え込まず、まずは現在の法的立場を整理してみてはいかがでしょうか。
当事務所では、状況を丁寧に伺いながら、現実的な解決策をご提案しています。お気軽にご相談ください



