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2014年3月17日放送「亡き父の遺言によると自分の取り分がないが?」

山下江法律事務所

なやみよまるく~江さんの何でも法律相談~
2014年3月17日放送分
亡き父の遺言によると自分の取り分がないが?
相談者 46歳/女性

Q: 今月は、「相続」をテーマに、皆様からいただいた様々な悩みを解決していきます。
今日は、46歳、女性からのご相談です。

「先日、実家の父が亡くなりました。
葬儀を終え、初七日の法要も終えた後、実家で両親の面倒を見てきた兄が、「父の遺言があり、お前の遺産の取り分はない。」というのです。
年老いた母も、「高校卒業後、京都の大学に行き、その後関西で就職、結婚をして、実家の広島にはめったに帰ることのなかった私には、受け取るべき遺産はないだろう」という風に考えているようです。
でも、たまに実家に帰るとにこやかに親子で会話し、私の子ども、父にとっては孫に対しても、かわいがってくれていたのに、まさか相続する財産がまったくないと父から遺言されているとは思いませんでした。
私には母や兄とは違い、父の遺産を相続することはできないんでしょうか。」
というお問い合わせのメールが来ています。
江さん、今週もよろしくお願いします。

A: はい、よろしくお願いします。
この番組でも、相続については何度かお話してきましたが、相続においては、被相続人(亡くなった方のことですが)は、原則、自由意志にもとづいて遺言することができます。
原則はそうなのですが、但し、全財産を「ある一人の子どものみに譲る」とか、「愛人に譲る」という遺言をすると、その他の残された家族は生活に困ってしまうことがありますので、
法律では亡くなった方の配偶者、子ども、両親や祖父母などであれば、遺言の内容に反してでも取り分を認めています。
これを「遺留分」と呼びます。
例えば、子どもであれば、結婚して家を出て行った娘、就職後ほとんど家に帰っていない息子であっても遺留分が認められます。
 ちなみに、亡くなった方「被相続人」の兄弟姉妹には遺留分は認められていませんので注意が必要です。

Q: そうしますと、この方も相続は出来るということですね。

A: そうですね。
法律は最低限度の相続財産を遺族に保証しています。
つまり法律は、家族財産の公平な分配という観点から、相続人に対し、一定の限度でこれを取り戻す権利を認めているのです。
相談者のように、相続人が、亡くなったお父さんの妻であるお母さんとお兄さんと相談者ご本人の子ども二人の場合にこの相談者が遺留分として請求できる権利は、遺産の8分の1となります。計算は次の通りです。
子どもの相続分は2分の1ですが、子どもが相談者と兄の2人ですので、相談者の相続分は、2分の1×2分の1=4分の1です。
遺留分は、子どもの場合、相続分の2分の1となっていますので、相続分4分の1×2分の1=8分の1となります。
 ただしこの「遺留分」というものは、当然に貰えるものではなく、請求をしなければなりません。
 この請求のことを「遺留分減殺請求」(イリュウブンゲンサイセイキュウ)と言います。

Q: 「遺留分減殺請求」ですか・・・。
難しい言葉が出てきましたが、相談者が、遺留分減殺請求するためにはどうすればよいのでしょうか?

A: はい、遺留分を請求するには、相続開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内にしなければなりません。
 請求先は、贈与などを受けて遺留分を侵害している相手方です。
また請求する権利は、相続開始より10年で消滅します。
間があいてからの減殺請求は、後々のトラブルに発展することが多いので、できるだけ早く請求したほうがよいと思います。

Q: 1年以内に請求しなければならないんですね。
どんなふうに請求するのですか?

A: はい、「遺留分減殺請求書」というものを出すのですが、この場合、内容証明郵便で送付すべきです。
内容証明できちんと証拠にしておかなければ、後に、遺留分減殺請求をしたのかどうかで争うことになりかねませんからね。

Q: なるほど、それで請求手続きは終わりですね。

A: まあ、手続きとしてはそうなのですが、弁護士としての経験から言うと、「遺留分減殺請求」をする場合は、殆どが揉め事になります。
揉めた場合には、家庭裁判所で調停、審判ということになるのですが、ある意味では揉める事への覚悟が必要と言えるかも知れません。

Q: こういう場合、一人で悩まず法律の専門家である弁護士事務所に相談したほうがよさそうですね。
このケースのように、自分の死後、親族で揉め事が起こらないようにするには、遺言を残す側の立場として、どう遺言書を作成しておけばよいのでしょうか?

A: そうですね。
まず一つには、最初から遺留分を盛り込んだ遺言書を作ることですよね。
具体的には、「私の遺産については、妻に1/2を、子どもに3/8を、あるいは前妻との子がいるなどとしたら、その子には1/8を相続させる」などのように遺言をすることです。
 こうすることで、遺留分減殺請求はされないで済みます。
結果的に、相続財産の一部を渡すことにはなりますが、こうした遺言を残すことが、争いを生じさせない方法と言えるでしょう。

Q: なるほど。

A: もう一つは、遺言状の中に、「遺留分の請求などしないでほしい」と一文入れておくということですかね。
これはもちろん法的な拘束力はありませんが、精神的な部分で争いを抑止する力になるかもしれません。

Q: なるほど、今日は相続の遺留分と遺留分減殺請求について伺いました。
相続についても、法律的にいろいろな手続きも必要ですし、専門家である弁護士に相談するのがよろしいですね。

A: はい、地元広島の山下江法律事務所にご相談ください。
当事務所には、NPO法人相続アドバイザー協議会の認定を受けた「相続アドバイザー」・「上級アドバイザー」が常駐しており、法律問題だけでなく、相続税や不動産の問題など、相続手続き全般のご相談やサポートのお手伝いをしています。
ただ今山下江法律事務所の「相続アドバイザー」・「上級アドバイザー」へのご相談は、初回に限り30分間無料としております。
この機会に「相続」について疑問に感じられたら、ぜひご相談ください。

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