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生前贈与あり、公平に遺産を分けたいが

山下江法律事務所

なやみよまるく~江さんのなんでも法律相談~
2013年11月18日放送分
生前贈与あり、公平に遺産を分けたいが
相談者:40代/男性

Q: 今月は、相続をテーマに、様々な悩みを解決していただきたいと思います。
江さん、今日もよろしくお願いします。
では早速、40代の 男性からのご相談を紹介しましょう。

「先日実家の父が亡くなりました。
母はすでに他界しており、兄弟姉妹での相続となります。私には姉と兄がおり、三人兄弟なのですが、嫁に行った姉と、東京で就職した私とは違い、兄は大学卒業後、職にも就かず、実家に住んで親のすねをかじって生活していましたし、実家の敷地内に家も建ててもらいそこに住んでいます。
兄のように亡父の生前に相当の財産を貰った者と私のように貰っていない者でその相続財産の取り分に差を付けないと不公平ではないでしょうか?」

という質問です。
江さん、今週もよろしくお願いします。

A: はい、よろしくお願いします。
これがいわゆる遺産相続における「特別受益」の問題です。

Q: 「特別受益」ですか?
耳慣れない言葉ですが、江さん詳しく説明してください。

A: はい、「特別受益」とは、遺産分割の際、共同相続人の中に被相続人から遺贈を受けたり、婚姻、養子縁組のためにあるいは生計の資本として贈与を受けた者がある場合、被相続人が相続開始時に有した財産の価額に、贈与の価額を加えたものを相続財産とみなして、相続分の中から、遺贈や贈与の価格分を控除した残額をもって、その者の相続分とすることを言います。
もう少しかみ砕いて説明しましょうかね。
例えば、被相続人が生前中に1人の相続人が家を建ててもらった。すなわち被相続人から1人の相続人に家が贈与されたとします。
被相続人の相続財産の遺産分割にあたっては、相続財産にその家の価額を加えた金額を相続財産とみなして、これを「みなし相続財産」というのですが、そのみなし相続財産を対象にして、各相続人の相続分を決める。
そして、すでに家をもらっていた相続人は、みなし相続財産を元にした相続分から家の価額分を差し引いた財産を取得できるのみ、ということです。

Q: つまり事前にこの相談者の方のお兄さんが親から受け取っていた財産は、事前に相続を受けていたものと考え、差し引いて相続するということですか?

A: う~ん。
うまくまとめていただきましたね。
そういうことです。
この相談のケースでも、生前に相当の財産(特別受益)を貰った者(兄)と貰わない者(兄以外)の間では、現にある相続財産だけを対象として、法定相続分による分割をしたのみでは不公平となります。
そこで法律では、被相続人から生前贈与を受けまたは遺贈を受けた財産を相続財産に加えた上で、このみなし相続財産を法定相続分で分ける。
そして、相続の際に実際に特別受益者が相続するのは、この法定相続分から特別受益分を差し引いた分とします(民法903条)。
例えば、亡父の相続財産が1億円あって、特別受益がない場合、妻と子(兄弟2人で相続するなら、妻が2分の1の5、000万円、子は残りの2分の1を兄弟で半分ずつの2、500万円ずつとなります。
この場合に、兄が2、000万円の生前贈与(特別受益)を受けていたとすると、これを加えた1億2、000万円がみなし相続財産とまります。
それを法定相続分で分けると、妻はその2分の1の6、000万円、兄弟はそれぞれ残りの6、000万円の半分の3、000万円となるのですが、兄はすでに生前に2、000万円を取得している訳ですから、3、000万円から生前に贈与を受けた2、000万円を差し引いた1、000万円しか相続できないこととなります。
結果、1億円の相続財産は、妻が6、000万円、弟が3、000万円、兄が1、000万円を取得できるということになるのです。

Q: この相談のケースのように、定職にも就かず、家まで建ててもらっているとなると「特別受益」としてわかりやすい話ですけれど、まあ2世帯住宅で同じ家に住んでいるがお互いに働いて別々に生計を立てていたけれど、孫が私立の学校に通う学費を援助していた なんて言うケースはどうでしょうか。
結局どんな場合に「特別受益」とされるのでしょうか?

A: はい、「特別受益」が問題になるのは、あくまで相続人に対する生前贈与です。
特別受益の制度は、相続人間の公平を図ることを目的としていますから。
ですから、この孫の親(被相続人の子)が生きている間は、孫は相続人ではありませんから、特別受益の問題は発生しません。
しかし、この孫の親が死亡している状況では、孫は代襲相続人として相続人となりますので、特別受益を考慮する必要があります。

Q: お孫さんの親(被相続人の子)が生きていたか死んでいたかによるのですね。

A: はい、そういうことです。
次に、特別受益に当たる可能性のある場合について、例を説明しましょう。
遺産の前渡しと評価されるような生前贈与がある場合。子が親から独立して別世帯をもつための不動産の分与。
ある程度まとまった金銭、動産等の贈与。
学資や生活費等の援助。
新築祝いや入学祝い等の祝金。
親の土地に子どもが家を建てる等、土地の無償使用。
親が立てた家に子の家族が独立して住んでいる等建物の無償使用などがあります。
他方で、小遣い若しくは扶養料として現金をもらった場合や誕生祝いとして貴金属をもらった生前贈与は、特別受益に該当しない、あるいは、婚姻の費用のうち、挙式や披露宴の費用等は本人のためというより親のためにする場合には、特別受益には当たらない、とされています。

Q: なかなか判断が難しい場合もあるのですね。
どんな基準で判断するのでしょうか。

A: はい、なかなか基準が難しい面もあるのですが、結局、「遺産の前渡し」と言えるような生前贈与かどうかになると思います。
他の根拠に基づいて現金が支払われている場合、たとえば、先ほどの扶養料ですが、直系血族の間では扶養義務があります。
それに基づいての金銭交付なら、「特別受益」ということにはならないわけです。

Q: なるほど、同居している親族間での生活費等の援助というと、どこまでが相当かという基準は難しいですね。
こういうケースでは、法律の専門家である弁護士の先生に相談することがよろしいのではないでしょうか。

A:  特別受益を主張したり、されたりする場合も、揉め事になる可能性が高いですので、弁護士にご相談されることをお勧めします。
どうぞお気軽に地元広島の山下江法律事務所へご相談ください。

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