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改正相続法における配偶者相続人の保護

 2019年11月30日公開の城昌志弁護士でのコラムでは,改正相続法における配偶者居住権についてお話しました。配偶者居住権により配偶者相続人の保護が期待されますが,配偶者居住権は遺言等がないと取得できません。配偶者短期居住権も一定期間の居住が許されるだけなので,配偶者相続人が生活の本拠地を失う可能性があります。

 そこで,配偶者相続人に居住用不動産と預貯金その他の相続財産を残せるようにするために,改正相続法において,「特別受益の持戻し免除の意思表示推定」制度が創設されました(2019年7月1日から施行)。これは,被相続人が,一定要件をみたす配偶者相続人に対して居住用不動産を遺贈又は贈与したときは,その遺贈又は贈与について,特別受益の持ち戻しを免除する意思があったと推定するという制度です。

 少し詳しく説明します。特別受益とは,相続人が被相続人から受けた遺贈又は贈与(婚姻もしくは養子縁組のためもしくは生計の資本としてのもの)を言います。特別受益は相続財産の前渡しとして扱われ,相続財産額に特別受益額を加えて一応の相続分を算定し,その一応の相続分から特別受益額を控除した残額を,特別受益者の相続分とします(持戻しの計算)。持戻しを免除する,つまり,相続財産額に特別受益額を加えるなどの計算を行わないためには,被相続人が意思表示をすることが原則として必要です。

 しかし,改正相続法では,一定の要件をみたした配偶者相続人については,被相続人に持戻し免除の意思表示があったものと推定されます。その要件は,以下のとおりです。

  1. 夫婦の一方である被相続人が,他の一方に対してする遺贈又は贈与
  2. ①の夫婦の婚姻期間が20年以上
  3. 遺贈又は贈与の対象物が,居住の用に供する建物又はその敷地

 この制度により,配偶者相続人は,居住用不動産の遺贈又は贈与を受けても,遺産分割においてこの点を計算に入れることなく,それ以外の相続財産を受け取ることが可能となります。

 ただし,あくまでも被相続人の意思表示が推定されるだけですので,被相続人が持戻しを求める意思表示をしていたことを立証できる場合には,持戻しの計算を行うことになります。

 相続においては,他にも様々なことが問題となるため専門的知識が不可欠です。お悩みがある方はぜひ当事務所にご相談ください。

 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 山口 卓

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