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目次

相続問題Q&A

過去にお問合せいただいたご質問に対して,一般的な回答を掲載しています。事情により異なる場合もありますので,詳しくはご相談にいらしていただくことをお勧めします。

遺産分割

遺産分割については「遺産分割でお困りの方」に説明があります。

《内縁の妻》

内縁の妻は相続できますか?
内縁関係の配偶者は法定相続人にはなれません。
ただ相続人が誰もいない場合において,内縁の妻は、家庭裁判所に「特別縁故者に対する相続財産分与の申立て」をすることで遺産を取得できる可能性があります。ただし、裁判所が、内縁関係での縁故の程度、献身の程度、生活状況などを調査したのちに判断するものなので、必ず認められるとは限りませんですから事実婚のままで確実に財産を承継させたいのであれば,その旨遺言をしてもらっておくべきです。

《二次相続での配慮》

父の相続のときに自分の取り分が少ないのを我慢したが,次に母の相続が発生したときに,それを配慮してもらうことができますか。
遺産分割は、1つの相続ごとに判断すえうので、別の相続の事情は考慮されません。

《不動産の売却》

遺産分割協議がまだ終わっていないのに,共同相続人の一人が相続不動産を売却しようとしています。売却することは可能なのでしょうか?
相続不動産を共同相続人の一人が売却することはできません。
必ずしもすべての遺産についての協議が終わっている必要はありませんが,少なくとも売却しようとする不動産についての遺産分割協議を終えない限り,その不動産は売却できません。第三者に所有権取得を対抗するための登記手続が出来ないためです。
遺産分割が未了の場合,当該不動産は共同相続人の共有となります。売却し,所有権移転登記手続を行うためには,共同相続人全員の印鑑が必要になります。

《未成年》

未成年者には相続権がないのですか?どのように遺産分割すればいいのですか?
未成年者にも相続する権利はあります。
ただ,未成年者の法律行為については,法定代理人(通常は親)の同意が必要です。
夫が亡くなり,妻と未成年の子が法定相続人であるというような典型的な相続のケースにおいて,子どものために親権を行う妻自身も相続人であるという関係上,相続人である子どもとの間で利益が相反してしまいます。
そのため,子どものために特別代理人を選任してもらうよう,家庭裁判所に請求する必要があります。
特段大きな遺産もなく,家庭内での争いもない場合には,このような手続をとることは,大げさにも思えますが,特別代理人の選任ないままに協議をしても未成年の子が成人してから追認しない限り無効となります(民113条)。
後々の紛争を生じさせないためにも,法定の手続をきちんととる必要があります。
あるいは未成年者が成人してから遺産分割協議を行うという方法もあります。

《やり直し》

遺産分割はやり直しができますか?
原則できません。相続人全員の合意があれば可能ですが、税法上では相続税の修正ではなく、新たに譲渡税や贈与税が課税されることになるので注意が必要です。
遺産分割協議後に新たな遺産が見つかった場合、その遺産が重要なもので初めから存在がわかっていた場合には、従前の遺産分割協議のようにはならなかったと考えられるような場合には、従前の遺産分割協議が錯誤により無効、となるケースも稀にあります。
しかし、多くの場合は、新たに見つかった遺産を分割すれば足ります。

《やり直し(婚外子)》

最近,婚外子(非嫡出子)の相続分を嫡出子の半分とする民法900条4号ただし書きの規定について最高裁で違憲決定が出たと聞きました。私は婚外子として父の遺産分割の際に他の兄弟の半分しか遺産をもらっていません。今から遺産の分け直しはできるのでしょうか?
遺産分割が確定的に終了しているので分け直しはできません。
平成25年9月4日最高裁の違憲判断は,平成13年7月当時から本決定までの間に開始された他の相続につき,民法900条4号ただし書前段の規定を前提としてされた遺産分割審判等の裁判,遺産分割協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすべきではないと言及しています。
つまり,現在遺産分割協議が進行中の場合には最高裁の違憲判断を前提として遺産分割を今後することができますが,既に協議書を作成するなどして終了している遺産分割についての分け直しはできません。遡って分け直す必要があるとなると社会に生じる混乱が大きくなります。最高裁はこの点については特に配慮したことが窺えます。


《遺言書あり》

遺言書がある場合の遺産分割の流れを教えてください。
遺言がある場合には、遺言の内容に従って、遺産を分割することになります。
遺言が公正証書遺言以外の場合には、遺言書を開封せずに家庭裁判所の検認を受けてください。遺言書作成時から財産状況が変化している場合があるので、相続 財産の確定が必要です。遺言執行者が指定されていれば遺言執行者が遺言を執行します。指定されていない場合、法定相続人全員が遺言によって指定された範囲 で遺言を執行します。相続人全員の同意があれば,遺言とは違う遺産分割を行うことも可能です。

《遺言書なし》

遺言書がない場合の遺産分割の流れを教えてください。
相続人全員で遺産分割の話し合い(協議)を行うことになります。
合意がまとまれば,今後の不動産の名義変更や預貯金の払い戻しに備えて遺産分割協議書を作成し,各相続人は署名・実印による押印をすることなります。
合意がまとまらない場合には,家庭裁判所へ調停を申し立てて,相続人全員で話し合いを行うことになります。調停でも話し合いがまとまらない場合には調停が不成立となり,審判で決することになります。場合によっては民事訴訟手続で争うこともあります。

《協議書》

Case#1
遺産分割協議書には何がどのような事項を記載すべきですか。

被相続人の名前と死亡日、最後の住所、最後の本籍、登記簿上の住所 
財産を相続する人の氏名とその相続分 土地であれば、その所在、地番、地目、地積と共有の場合は持ち分 建物であれば、その所在、家屋番号、種類、構造、各階床面積と共有の場合は持ち分 預金であれば、銀行名、支店名、預金の種類、口座番号と相続する金額
「以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証するために本書【共同相続人の数】通を作成し、署名捺印する。」の一文 
遺産分割協議をした日(被相続人の死亡日以降) 
相続人全員の住所、署名、捺印(印鑑証明を添える)


Case#2
母の相続に関し、共同相続人間で遺産分割協議がまとまったので、遺産分割協議書を作成したいと思います。預金について、それぞれが相続する割合を合意していますが、協議書を作成する際、預金額と相続する割合のどちらを記載すべきでしょうか。

預金債権は、相続財産ではありますが、実務上は、遺産分割協議を経るまでもなく法定相続分で当然に分割されて各共同相続人に帰属するとされていますが、共同相続人全員が遺産分割の対象に含めることを合意すれば、遺産分割協議の対象に含めることができます。預金を対象に含めることで、他の財産の分配方法も柔軟 に決められることが多いこともあり、実務上も、預金債権も遺産分割の対象に含めることが多いです。
さて、遺産分割協議の対象に含めた場合に、預金額と相続する割合のいずれを書くべきかという質問ですが、これといった決まりはありません。しかし、預金額が分かっているのであれば、当該口座の総預金額と、そのうち各人が相続する金額を記載する方がだれが何円を取得するかという合意内容が一義的明確に定まるので良いと思われます。
なお、厳密にいえば相続開始後に発生した利息は、相続財産ではありませんが、その利息の扱いについても協議して記載しておく方がよいでしょう。

《海外在住》

Case#1
相続人の一人が海外在住ですが、遺産分割はどのようにおこなうことになりますか。
遺産分割協議を行うことには変わりありません。
相続人が海外にいるという理由だけで,その相続人を除外した遺産分割協議を行っても,協議は無効と扱われます。
通常は,遺産分割協議がまとまった場合,預貯金の払い戻しや不動産の移転登記に備えて,遺産分割協議書には相続人の署名のみではなく,実印を押印し,印鑑証明書や住民票を添付します。
海外の多くの国には,印鑑証明や住民票の制度がありません。
その場合,実印の代わりとして,日本領事館等の在外公館に出向いて遺産分割協議書に相続人が署名した旨の証明(サイン証明)をもらい,遺産分割協議書に添 付します。 また現地の日本領事館等パスポートなどのいつから居住しているかを証明できる書類を提示して,在留証明書を取得し,住民票の代わりとします。

Case#2
相続人の中に海外在住者がいる場合,金融機関からお金を払い戻す際や,遺産分割協議を行う際に必要書類として異なることはありますか?印鑑証明書の代わりになるものは何でしょうか?
海外には台湾・韓国を除いて印鑑証明書及び住民票の制度がないため,実印を押して印鑑証明書を添付することができません。住民票を日本に置いていない場合は,実印の代わりに署名(サイン)で対応します。また印鑑証明書の代わりに,日本領事館等へ出向いて遺産分割協議書に相続人が署名した旨の証明(サイン証 明)を取得し,このサイン証明を添付します。(但し,住民票を日本に置いたままの場合は住民票上の住所地で印鑑証明書を手配すればいいです。)


《葬儀費用》

Case#1
母親が急死しました。葬儀費用はだれが負担することになるのでしょうか。私が立て替えて支出した場合は、その分をあとから母親の遺産からもらえるのでしょうか。

葬儀費用は,被相続人(母親)の死後に生じる債務ですので,純粋な相続の問題とは異なります。法律上は明確な規定がなく,喪主が負担する,相続財産から支出 する,相続人が負担するなど,複数の考え方があります。被相続人が遺言書で葬儀費用について指定しているような場合は,その通りに扱えば問題ありませんが,そのような事情がない場合は,立て替えた後に当然に 遺産から立替金額をもらえるとは限りません。共同相続人と事前に協議をして,だれが,どのように負担するかを決めておくのが無難です。なお,葬儀費用に関連して,香典の扱いも問題になりますが,香典は,死者を供養し遺族を慰めるため,また,相互扶助の精神から葬儀費用等遺族にかかる負 担を軽減するための贈与と考えられますので,香典から,香典返しに要する費用を除いたものを葬儀費用にあてるべきと考えられます。

Case#2
主人(死亡)の従兄弟が亡くなり,相続人がいないので,自分が費用をだして簡単な葬儀を挙げた。土地や預金は残っており,警察から通帳を渡されて預かっている。葬儀費用を精算するにはどのようにしたらいい?
亡くなってしまった者の通帳などを預かっているということですが,おそらく金融機関は亡くなった者の預貯金口座をすでに凍結しており,通帳やキャッシュカー ドを使って勝手に預貯金を引き出すことは現実にはできないものと考えられます。 また,仮に亡くなった者の銀行口座が凍結されていないとしても,葬儀費用を立て替えたからといって勝手に金融機関口座からお金を引き出したり,亡くなった 者の自宅から現金等を持ち出すことは後々のトラブルとなりかねず差し控えるべきだと思います。

そこでまず,第1に検討すべきは公的保険が利用できないかということです。 亡くなった方の死亡原因により適用される保険は異なりますが,所定の手続をすれば,葬祭や埋葬を行った者は,葬祭料や埋葬料として一定額の支給を受けるこ とができます。 例えば,亡くなられた方の死亡原因が業務上の死亡や通勤災害の場合には,葬祭を行った者が労働基準監督署に請求をすることで葬祭料や葬祭給付などが労災保 険から支給されます。 健康保険の被保険者が死亡した場合には,健康保険組合に申請すれば健康保険から一定額の埋葬料が支給されます。 国民健康保険を支払っている者が亡くなった場合には,亡くなった者が居住していた役場で手続をして,葬祭費を支給してもらうこともできます。 とはいえ,以上の保険給付は上限額が定まっており,立て替えた全額の給付が受けられるわけではありませんから注意が必要です。

次に,亡くなった者に相続人がいない場合において,相続財産について利害関係を持つ利害関係人(葬儀費用を立て替えた人も該当します。)は,相続財産から 弁済を受けるために,相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申立てることができます。 相続財産管理人とは,簡単に説明すれば亡くなった者の相続財産を調査・管理し,亡くなった者に債権者がいれば弁済を行うなどの行為を通して相続財産の清算 を行う者です。

ただ,相続財産管理人の選任申立に際しては,亡くなった方の相続財産の額が少ない等の場合には,申立人は裁判所から相当額の管理費用の予納金の提出を求め られることもあるようですから,立て替えた葬儀費用の額,遺産の総額などを考慮して,実際に申立までを行うかどうかを検討すべきだと思います。 さらには,葬儀費用を立て替えたたからといっても,立て替えに至った経緯や生前の関係性によっては,弁済を受けられるかは争いあるところです。

ご質問のケースでは簡単な葬儀を挙げたということであり,多額の葬儀費用を立て替えたというわけではないでしょうから,ひとまず保険請求によって立替金を回収することを優先すべきだと思います。

《行方不明の共同相続人》

共同相続人の中に,音信不通で行方の分からない者がいます。連絡の取れる者だけで遺産分割をまとめてしまっても良いですか。
遺産分割協議は、相続人全員でおこなう必要があり,共同相続人が一人でも欠ける状態で遺産分割協議をまとめても無効です。まずは,行方不明の共同相続人の戸籍の附票をたどって住所を調査するなどして,連絡を試みてください。それでも行方が分からず連絡が取れない場合には、 家庭裁判所に申し立てをして不在者財産管理人を選任してもらいます。この不在者財産管理人が行方不明の共同相続人の代わりに,家庭裁判所の許可を得て,遺産分割協議に参加することで,有効に遺産分割をすることができます。また,行方不明の共同相続人の生死が7年間明らかでない場合は,家庭裁判所へ申し立てて失踪宣告をしてもらう方法もあります。失踪宣告により行方不明の 共同相続人は死亡したとみなされるため,同人の相続人に遺産分割協議に参加してもらうことで有効に遺産分割をすることができます。

《期限》

遺産分割に期限や時効はあるのですか?
遺産分割は、相続開始後いつでも行うことができるとされています。遺産分割に時期的な制限は設けられていませんし,一定期間の経過によって遺産分割を行う権利が消滅することもありません。ただし,遺産分割協議をまとめないまま放置してしまうと,共同相続人が増えたり(次の世代の相続の発生),相続財産が拡散・不明になったりして,状況が複雑になり,結果として遺産分割 協議をまとめることが非常に困難になるおそれがありますので,早めの遺産分割協議をこころがけるのが望ましいです。

《銀行預金》

銀行預金の口座名義人が死亡し口座凍結後,長期間そのままにしておいてもいいのでしょうか?
遺産分割は、相続開始後いつでも行うことができるとされています。遺産分割に時期的な制限は設けられていませんし,一定期間の経過によって遺産分割を行う権利が消滅することもありません。ただし,遺産分割協議をまとめないまま放置してしまうと,共同相続人が増えたり(次の世代の相続の発生),相続財産が拡散・不明になったりして,状況が複雑になり,結果として遺産分割 協議をまとめることが非常に困難になるおそれがありますので,早めの遺産分割協議をこころがけるのが望ましいです。

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